「斫り」 これ、何と読むかわかりますか?
※ヒントは建築用語です。
答えは「はつり」です。
工種でいうと解体工事に分類されますが、その中でも電動ピックやハンドブレーカーなど人力でコンクリートを壊す工事を指し、その職人さんを斫り屋さんといいます。
コンクリートを壊すのが仕事ですから新築工事の場合、現場造成杭の杭頭処理でしか出番がないはずなんですが、そんなことはありません。とっても頼りになる職人さんです。
躯体コンクリートがはらんでしまったり、搬入経路に仮設で打ったコンクリートを壊したり、型枠の敷桟周りの切り付けなどなど。
とっても頼りになるのですが、前述のとおり新築工事では、予算項目に斫り工事などという項目はなく、斫り屋さんの予算を捻出を悩んでいる所長の背中を15年前当時勤めていたゼネコンでみていた記憶があります。
「斫り仕上げ」のお話
余談はさておき、
リノベーション工事でも当然斫り工事はいろいろお世話になるのですが、今回は「斫り仕上げ」について、書いてみようと思います。
当社の入っているビルは外壁コンクリート打ち放し仕上げであり、エントランスに「斫り仕上げ」が施してあります。
実は斫り仕上げについて勉強不足で、バブルの頃の建物によくみられる、とってもコストのかかる仕上げという程度の認識しかありませんでしたので、少し調べてみました。
斫り仕上げには、大きく3つあることがわかりました。
・小叩き仕上げ
先のとがった両刃のハンマーでたたく仕上げ。刷毛引きのようにすじが入った仕上げとなります。
・ビシャン仕上げ
肉叩きハンマーのようなごつごつとしたビシャンといわれるハンマーでたたく仕上げ。小さくごつごつとした仕上げとなります。
・斫り仕上げ
ノミでたたいて仕上げます。ビシャンに比べ凹凸が大きくなります。
とても分かりやすかったので、道具の写真は栃木県大田原市の(有)精工石材店様のブログからお借りしました。
無機質であるコンクリートに風合いが!
どの仕上げも共通するのは、無機質であるコンクリートに、オリジナリティや手作業による風合いを持たせることができるといえます。また、塗装やタイルなどを使用せずにデザインを施すことができるといえます。
ただし、手作業ですので予想通り施工単価もそれなりにかかりそうです。
やり直しがきかないので、細かい指示も必要となりますね。
リノベーションで躯体表しの際にはぜひおすすめです。と言いたいところですが、
金額のみならず、数mmとはいえ躯体をいじめる作業となりますので、施工するにはハードルが高そうです。
機会があればぜひやってみたいですね。
(筆者:H.sakuramoto)